学会紹介

ご挨拶

                  日本数学史学会会長                    

                    小林 龍彦

 日本数学史学会は、数学史や数学教育だけでなく、科学史など周辺諸領域を含めた研究者の研究の発展に貢献し、会員相互の連携を目的として発足した学術団体です。会員は、国内研究者は勿論のこと、海外の研究者も入会しており、この分野におけるわが国の中心的学会としての役割を果たしています。  日本数学史学会の前身は、近世日本数学の鼻祖である関孝和の生誕250年祭に参加した和算史研究者によって1959年に作られた団体「算友会」にあります。「算友会」の活動は、和算史の研究を中心としたもので、雑誌 『和算研究』(1959年4月創刊)を年4回のペースで刊行していました。しかし、後に当会の初代会長になる小倉金之助等の助言を得て、和算史に限らず西洋や東洋の数学史とその周辺領域の研究を包含した広汎な研究団体として1962年に日本数学史学会と改名し再出発を図りました。発足当時の会員数は79名でした。会誌も『数学史研究』(季刊)へと変わり、2020年7月現在、通巻236号を数えるに至っています。諸般の事情から会誌の発行は年3回となりましたが、会員の研究成果の発表の場として重要な役割を果たしております。毎号秀逸な論文が掲載されており、今後の諸氏の投稿が期待される所です。また、年会総会(原則として6月第一日曜日開催)や数学史研究発表会さらには年2回開催される数学史講座も会員の研究発表と相互交流の場として機能しています。

 日本数学史学会の発足当時は年齢も30歳前後の研究者が多かったのですが、60年経ったいまでは若い研究者が少なくな っています。いずれの学会も直面している少子高齢化の影響です。その一方で、学会としての若返りも図らなければなりません。これらは 今日の学会が抱える重要な課題ですが、だからといって活動そのものを停滞させるわけにはいきません。  私たちの研究の核は、数学だけでなく数学史と周辺諸領域の研究にあります。数学がその周辺の環境や背景とどのような係わりを持っているかということを常に考えることは大切です。数学の問題についても同様で、その問題の生まれる周辺との関係性には何があるかはいつも考えておなかければなりません。そのように考えますと、私たちの身の回りには考察すべき題材がたくさんあると感じます。これらのことを皆さんと手を携えて議論できることが私の願いです。  数学史の研究者、教育関係者、院生(学生)、愛好家の皆さんの入会を心から歓迎します。