数学史講座について
当学会は、1年に2回講演会や算額見学会、史料調査などを内容とする数学史講座を開催しています。開催地は、これまで東京や大阪などで実施されることが多かったです。そうした取り組みに加え、今後は地方に講師を派遣する講演会の形も取り入れていきたいと考えております。また、最近では普及委員会と連携し、Zoomによるオンライン講座も無料開催しています。次回の講座が具体的になり次第、当HPにアップしていきたいと思いますので是非ご参加ください。
2024年7月数学史講座参加申し込みについて
1 日時: 2024 年 7 月 28 日(日)午後1時30分~2時30分(質疑応答を含む)
2 講師と演題:
田中 紀子 氏(奈良学園大学 人間教育学部)
「岡七兵衛之只の数学について」
3 形式:Zoomによるオンライン講座
4 参加費:1,000円(会員は無料)
<振込先> 郵便振替 00120-6-20022 日本数学史学会
5 参加方法:参加を希望される方は、次のフォームからご入力ください。
https://forms.gle/ce3zyU13z519SPh39
7月21日(日)までにご登録ください。招待メールを7月22日(月)以降にお送りします。
もし届かない場合は、必ず下記 6 までお問い合せください。
6 お問合せ先:小曽根淳 ozonejam@sctv.jp ☏0283-24-8886
2024年2月数学史講座
小林 徹也 氏(茨城県立竜ヶ崎第一高等学校・附属中学校)
「高校生による「教科横断型」を目指した和算探究の学びの検討」
高校1年生が「因帰算歌」の現代語訳、数学的内容の表現、英語訳を行い、さらに文化等について調べ、ポスターにまとめるという「教科横断型」の授業について話されました。授業後のアンケートを、テキストマイニングツールのAIダイジェスト機能で分析し、考察した結果を報告されました。
石塚 学 氏(栃木県立栃木高等学校)
「算額を活用した国際交流にみる数学観の変容」
マレーシアと日本の高校生が英語でコミュニケーションしながら算額を解くということを、異文化体験や算額の動的考察という視点から、数学観の変容として話されました。当日のスライド、授業動画、ICT機器を用いた算額の構造および軌跡について説明されました。
2023年度第1回数学史講座
今年度第1回数学史講座が、小川束 氏 (四日市大学関孝和数学研究所副所長)を講師に、7月30日(日) 午後1時30分から3時頃まで25名の参加で開催されました。
まず、1974年刊行の『関孝和全集』の不十分な個所に端を発し、2005年から約20年の編集会議を経て、この10月に新『関孝和全集』が岩波書店から刊行される運びとなった経緯をお話しされました。
特に、関孝和の著作として採録する写本の基準を明確にし、選定作業を行ったこと。そこから旧『関孝和全集』の採録したもので外れたものがあること、等説明されました。
そして、関孝和の数学として「一般論を志向した漢字文化圏最初の数学」と特徴づけられました。関の著作は方程式に関するものが多く、関は具体的な解法を離れ一般的な方程式論を理解しようとした。実例としてベルヌーイ数や魔法陣、角術を取り上げ説明されました。
また、そうした一般化への希求は関の数学の本質であり、残念ながら弟子や後継者には技術的な引継ぎはあっても関の思想は理解されなかったのではないかと問題提起されました。質疑応答も講演の内容を深彫りし、具体的で刺激的な内容の講座となりました。
2023年2月数学史講座
有元康一氏(福岡教育大学准教授)
「和算を含めた数学史の話題を数学教育で扱うことの意義」
数学史を数学教育で扱う意義として、数学の視点,他教科の視点,現在の教育課題の視点,家庭や地域における視点など4つの点から話されました。特にご自身で研究された、和算家・菊池長良(ヘロン三角形)に関する教材例を授業の様子を交え具体的に話されました。
牧下英世氏(芝浦工業大学教授)
「和算・算額の内容を数学教育に活⽤する取り組みと課題についての⼀考察」
ご自身の実践例の中、算額を解く、数学との関係を⾒出す,算額奉納、修学旅⾏での算額探訪等の諸活動を紹介されました。特に、接触円の中⼼や直線に接する円の中⼼を⾒出すため、⼆次曲線の軌跡を付加する方法を具体的に参加者と共に考察する形で進められました。